衛星画像の AI による自動解析の活用について(1/2)
今回は、様々な分野で衛星画像を用いて利用されているサービス、そして撮影結果の画像処理について紹介したい。
なお、今回の記事は、ボリュームがあるため前半と後半の2部構成となっている。それでは、まずは前半の記事をご覧頂きたい。
1960年代に商用衛星システムが誕生して以来、衛星は世界中の人々に幅広い重要なサービスを提供するように成長した。これらは、テレビ放送の配信、緊急通信、全地球測位、気象情報、環境モニタリングの提供において重要である。
近年、衛星画像(人工衛星から地球を撮影した画像)が急速に増加しており、その撮影成果を活用するための処理能力の高度化や自動化が求められている。このような社会要請に応えるため、 AIを使った撮影結果の画像処理と、それによって産まれるサービスに注目が高まっている。
その中でも、人口統計と、農業、防災・災害監視、都市管理の分野で利用されるサービスについてそれぞれ紹介していく。
人口統計について
衛星画像の解析による人口統計を活用すると、人口パターン、都市と農村の分布、及び貧困レベルの予測ができる。
スタンフォード大学の研究者は、貧困を予測できる機械学習モデルを開発した。モデルは衛星画像を使用してデータを収集し、アルゴリズムを実行する。
このアルゴリズムは、何百万もの衛星画像から日中と夜間の特定の地域の光の存在を比較し、経済活動のレベルを予測する。該当深層学習手法は「転移学習(Transfer Learning)」である。
農業分野においての利用
少子高齢化が進む中、農業は深刻な高齢化に直面している。この原因の一つに後継者不足があげられ、若い世代が農業に従事するには、様々な不安がつきまとっているようである。
農業分野における衛星画像データの活用例としては、多時期の同じ場所を撮影したデータなどを、深層学習の「LSTM(Long short-term memory)」で学習させ、病気などの被害判別や農地管理などへの活用が行われた。例えば、小麦生産における赤さび病(カビの一種に感染することで発症する病気)の感染状況の把握などがある。
このようにデータの可視化を行うことで、農産業界の不安が払拭されることに期待が高まっている
防災・災害監視に於いての活用
近年、気候変動に起因する台風や大雨などの自然災害が毎年のように発生しており、今後大規模な地震が発生する可能性もしばしば指摘されている。
被害を最小限に食い止めるために、深層学習手法を活用し、観測したデータと平時に記録していたデータとの差異を比較して、発災の可能性が高い地域の絞り込み、災害後の状況把握を行い、迅速な復旧や被災低減に役立てている。
EagleView社は「AWSApache MXNet」の深層学習手法を利用し、ハリケーン・ハービー(Hurricane Harvey)発災から24時間以内に災害後の状況の視覚化を行った。その精度は、実際の現場写真との比較をしても96%が一致していた。
続きは後半の記事にてご紹介したい。
後半の記事は、衛星画像のAIによる自動解析の活用例のうち、特に「都市管理」における活用例をまとめている。
ぜひ、ご覧くださいますようお願いいたします。
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