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角膜画像に基づく糖尿病の進行管理

これまで2回にわたり眼科画像の機械学習手法を用いた糖尿病のスクリーニング方法について紹介してきたが、今回は顕微鏡で撮影した角膜画像の解析により、糖尿病の3大慢性合併症の一つとされる「糖尿病性神経障害」について、発症の有無や重症度等を早期に評価する方法について、技術的な考察情報としてご説明したい。

角膜神経の画像解析による糖尿病の進行管理について

角膜は全身の中でも神経の分布密度がとても高い組織である。そのため、角膜を角膜共焦点顕微鏡(CCM:Corneal Confocal Microscopy)を使って角膜神経を撮影し、画像処理をして分析することにより、単位面積あたりの角膜神経の本数(NFD:Nerve Fibre Density)や長さ(NFL:Nerve Fibre Length)や屈曲度(NFT:Nerve Fibre Tortuosity)などを定量的に指数として示すことができる。
そして、角膜神経の画像解析を使った糖尿病の進行管理は、糖尿病の方に最も多い合併症のひとつになる「糖尿病性神経障害」の早期発見や進行状況の評価をすることが可能になる。また、この方法の最大のメリットは、組織を切り取ったりすることをせず、神経を直接観察するため、患者さんへの負担が少なく、繰り返し検査を行うことができる点にある。「糖尿病性神経障害」は、まず痺れや痛みが現れ、悪化すると足壊疽の原因となることから、早期発見が非常に重要であるため、角膜神経の画像解析を使った糖尿病の進行管理がさらに普及されることを期待している。

角膜共焦点顕微鏡システムの例

角膜神経の画像解析を使った糖尿病の進行管理における具体的なシステムの例として「角膜共焦点顕微鏡システム」をご紹介する。このシステムは、まず「角膜共焦点顕微鏡(HRT II ロストック角膜モジュール)」という検査ツールを使って角膜神経を撮影し、次に、撮影した角膜画像をアフィン変換して自然パノラマ画像を作成し、角膜の神経線維全体の再構築をする。そして、角膜神経線維長、角膜神経線維密度、角膜神経枝密度および下方渦長を評価し、糖尿病における神経症の状態のレポート出力することができる。

最後に

眼科医療機器のAI・IOT化における在宅医療・遠隔医療の実現性について述べたい。前述で紹介した「角膜共焦点顕微鏡」は、角膜神経線維密度や神経長などを評価でき、神経障害の数値化が可能となる。そのため、これらの診断技術の普及により,神経障害のより早期の診断が期待されている。また、角膜の真菌菌糸観察や角膜移植術やレーシックなどの神経障害についても「角膜共焦点顕微鏡」で評価し、眼科医療機器のモバイル化・小型化の進歩に伴い、生活習慣病をチェックできる在宅ヘルスケア、遠隔医療への応用が期待できる。

ここまで、眼科画像に基づいた糖尿病のスクリーニングと進行度の評価を3回の記事で紹介したが、機会があれば医療分野におけるAI・IOTの取り組みを継続にご紹介していきたい。

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