衛星画像の AI による自動解析の活用について(2/2)
今回は、「都市管理」における衛星画像のAIによる自動解析の活用例のご紹介したい。
なお、衛星画像のAIによる自動解析の活用についての記事は、2部構成の記事であり、こちらの記事は後半の投稿となる。
前半をまだお読みでない方は、ぜひ前半の記事を先にご覧くださいますと幸いです。
都市管理における活用例(土地利用状況の把握)
都市管理における土地の利用状況の把握にも衛星画像のAI解析技術が活用できる。
衛星画像から、人工物、裸地、水域、草地、森林等に大別した土地被覆(ひふく)分類マップを作成することにより、分類した土地の状況を地図表現するだけでなく、面積の推定や複数時期の変化過程から都市変化状況の速度も推計することもできる。
土地被覆分類マップを作る技術としては、衛星画像を機械学習モデルの「敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)」で学習させることで可能となる。また、衛星画像の取得には、上空の雲を透過して地上を観測できる「合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)」を利用する。
都市管理における活用例(自動運転の実用化)
自動運転の実用化をするためには、「自動運転の車」と「人が運転する車」が共存できなければならない。そのため、自動運転の車は、周囲状況をより人間に近い形で理解することが求められる。そのためには、周囲に存在する人・物体に関する「意味」の情報をリアルタイムで正確に把握する技術が必要である。具体的には、観測点群の周囲情報と既存地図の重ね合わせにより、3次元地図の自動作成技術が必要である。実現方法としては、深層学習の「再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network )」を利用し、地図情報として再構築する。
都市管理における活用例(ソーラーパネルによる設置状況の把握)
衛星画像からソーラーパネルの設置状況を把握する手法として、スタンフォード大学は、機械学習の手法に、「畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)」を採用した。ソーラーパネルの有無を判別する精度は、93.1%であった。
一方で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電設備は、自然環境によって発電量が大きく変動してしまう。そのため、電力供給量における同時同量の原則を維持するために、都市全体の発電量を高精度に予測する技術開発は、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い今も進んでいる。
最後に
衛星画像の活用が急速的に増加し、画像の処理能力の高度化や自動化が求められるようになった。そうして産まれたサービスは、人口統計と経済活動の解析、都市変化及び災害把握などに大きく役に立っている。更に、地上系データとの組合せ、ネットワーク技術、IoT、AIなどを活用して構築されるスマートシティ化が進めば、より災害に強い街づくりを可能とする。
今後も宇宙から撮影された画像が、地上の様々な分野に貢献していくことを期待している。
さて次回は、「宇宙ステーションの予知保全」についてご紹介していきたい。ぜひご覧くださいますようお願いいたします。
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